REPERTOIRE

舞台手話通訳稽古2023

2023.09.06

いよいよ宮城野区子ども舞台芸術祭 フラットシアターフェスティバル(宮城/仙台)の上演が近づいてきました。
先週末は、仙台から舞台手話通訳を担当してくださる新納さん、岐阜市から舞台手話通訳の監修を引き受けてくださった岐阜ろう劇団いぶき 代表の河合依子さん。
愛知県から2名の手話通訳アシスタントの方々が、わざわざ各務原まで足を運んでくださり、2日間に及ぶ舞台手話通訳付きの稽古を開催しました。

昨年とは違った布陣で臨んだ今回の稽古。今年もとてもたくさん得るものがあり、気付かされることがたくさんある稽古でした。
今年は、2年目ということもあって、昨年よりもさらに作品の本質に迫った、ひとつひとつの情景の意味を問うような、そんな瞬間が多々ありました。
手話通訳のブラッシュアップをメインにした稽古ではありますが、手話通訳を追求するということはつまり、一緒に進行している芝居も必然的に精度を求められます。
いつもはひとりでマイペースに進めている芝居も、今回は舞台上に一緒にいてくれる手話通訳の方とともに、世界を作っていく。
丁寧にひとつひとつ掘り起こしながら、私自身の芝居もチェックするすごく充実した時間でした。

そして改めて、手話通訳の世界の奥深さを前にして、役者として正直ゾクゾクしました。
面白そうーーー、でも、めちゃめちゃ難しそうーーーー、すごいことやってるなぁーーーーばかりが駆け巡って、
稽古が終わって3日経つのに興奮して夜中に目が覚めます。
台本や、芝居と照らし合わせて、まず、手話でその芝居をどう表現するかの手話翻訳を作る。
それを実際の芝居と合わせる時に、どんなテンポで、どんなタイミングで芝居に合わせていくか、通訳者の呼吸や身体の状態も含めてプランを考え、稽古をする。
時には書かれてある台本を意訳している手話翻訳を当てている場合もあるから、俳優が発するセリフのテンポや音に引きずられないように
通訳のテンポや動きのコントロールが必要になる場合もある。いやぁ、鬼難しいでしょう、それ!!!
となりでイジーイジー私が言ってたら反射的にイジーってやっちゃうよ!
監修の方がこうやるのよ、と試しにやって見せてくれたそのちょっとした立ち姿や、首振りの角度で繊細な意味を表現していたのを見て、
舞台手話通訳者にも俳優としての素養が求められるんだなと痛感。そもそも手話という表現方法自体が身体表現に深く繋がっている、だから演劇と親和性が高いんだなと改めて実感。もう、稽古中、はーとかほーとかばっかり言ってしまって、お恥ずかしい限りでした。

昨年のフラットシアターフェスティバルで初めて舞台手話通訳付きの上演をした時。
こんな機会は滅多にない、そしてもう2度とないかもしれないと思い、私の子どもたちを岐阜から呼びました。
昨年は、他にも手話を使った舞台作品の参加があったので、こどもたちも初めて手話に触れ、強烈な刺激を受けたようで、
1年経った今でも昨年覚えた手話を見せてくれます。
手話に普段触れる機会がない人こそ、その表現の奥深さに触れてみてほしい。

耳が聞こえる人も、聞こえない人も、一緒に、同じ舞台を見る、という経験は今は日本ではまだ貴重な体験です。
これが貴重じゃなくなるといいなぁと、もっと舞台手話通訳が広がればいいなあと心から願います。

あと10日でフラットシアターフェスティバル。チケットのご予約や詳細は下記webサイトをごらんください。

宮城野区子ども舞台芸術祭_フラットシアターフェスティバル